人事労務 業務年間スケジュールと効率化のポイント
人事労務担当者の業務はとても幅広く、毎月膨大な量のタスクが発生します。
日々の実務を円滑に行っていくためには、年間のスケジュールを把握しておくことが非常に重要です。
また、年間スケジュールをもとに自社ではどんな業務が発生するか年間計画を作成するのもオススメします。
本記事では、人事労務担当者の年間業務を月別にまとめました。月毎にポイントもまとめておりますので、毎月の業務にお役立てください。
Excel版の年間スケジュールもご用意しましたので、併せてご活用ください。
人事労務の年間スケジュール
4月
- 新入社員入社手続き
- 新入社員入社オリエンテーション
- 人事異動手続き
- 勤怠システムの設定
- 労働保険料年度更新(事務組合の場合)
- 定期健康診断の実施準備
入社手続きでは、主に社会保険・雇用保険の加入手続き、通勤手当の処理、給与支給手続き、雇用契約書・労働条件通知書の合意等の業務が発生します。
漏れが無いように確認をしましょう。
人事異動が発生した際は「労働者名簿」など、社員情報の更新を忘れずに行いましょう。
5月
- 住民税年度更新
- 定期健康診断の実施
このため、毎年6月から住民税額が変更となりますが、5月から準備をしておきましょう。
給与システムなどの税額設定等を更新する作業も必要になります。
また、定期健康診断は受診が法律で義務づけられており、年に1回受診する必要があります。
実施時期は自社で決定してください。
健康診断実施後は、労働者が常時50人以上の会社については、健診結果を産業医に確認・意見聴取を行い、健診結果について所轄労働基準監督署に届け出を行います。
産業医設置義務のない会社の場合は「地域産業保健センター」の利用などもご検討ください。
6月
- 労働保険料の年度更新(事務組合以外の場合)
- 労働保険料の納付(事務組合の場合:第1期分、事務組合以外の場合は7/10)
- 高年齢者、障害者雇用状況報告
- 夏季休暇の付与、案内
事務組合加入でない場合は、毎年6月1日から7月10日に手続きを行う必要があります。
高年齢者・障害者雇用状況報告は、毎年6月1日現在の高年齢者および障害者の雇用状況等を、管轄のハローワーク(一部地域では労働局)に報告することが法律で定められていて、7月15日までに提出する必要があります。
7月
- 算定基礎届の提出
- 給与改定準備(改定時期に合わせる)
- ストレスチェック準備
算定基礎届とは、被保険者の健康保険・厚生年金保険の標準報酬月額と、実際の報酬(給与)との間に大きな差が生じないようにするために、その年の4月〜6月の報酬月額を届け出し、厚生労働大臣がこれを基に毎年1回、標準報酬月額の決定をし直します。
決定し直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月の社会保険料算出に適用されます。提出期限は毎年7月10日です。
4月に昇給・降給があった場合は、月額変更届の提出対象となる場合がありますので、該当社員の確認が必要です。
8月から給与改定が行われる会社の場合は、現在の給与情報・勤続年数・社員区分・勤怠情報など、評価に必要と思われる情報の整理などの準備を開始しましょう。
給与改定や評価の実施時期は会社ごとに異なりますので、自社のタイミングに合わせて対応してください。
8月
- 給与改定者への通知
- 給与改定決定後の処理(給与処理、人事情報更新等)
- ストレスチェック実施(労働者50人以上の場合)
超過勤務手当の計算(給与改定月の翌月から、基準となる賃金額の変更が行われます)は、間違えやすいので注意しましょう。
改定対象者が社会保険料の月額変更対象となる場合には、3カ月後の月額変更届(8月・9月・10月の給与額)を忘れずに提出します。
また、4月に給与改定があった社員の社会保険料の月額変更が発生した場合は、8月給与(社会保険料の翌月徴収が多いです)から適用となりますので、通知書をしっかりチェックしましょう。
また、ストレスチェックは、労働者が常時50人以上の会社では、年1回の実施・報告が義務づけられています。
自社のタイミングに合わせて準備・実施をしてください。50人未満の場合は努力義務となっています。
9月
- 社会保険 標準報酬決定通知書の確認(算定基礎届の結果)
- 最低賃金の確認(10月改正反映)
- 夏季休暇取得状況の確認
- インフルエンザ予防接種の案内(会社により相違)
7月に提出した算定基礎届の結果が届きます。間違いがないか確認をしましょう。
9月末退職者は保険料が2カ月徴収となります。徴収すべき2カ月目の保険料は算定基礎により決定し直された金額となるので注意が必要です。
また、最低賃金の改定情報が発表される時期です。
時給制社員の時給や、月給制でも時給換算した場合に下回ることがないように改定を行い、必要に応じて給与改定の通知を対象社員へ行いましょう。
10月からの給与計算への反映も忘れずに行います。
10月
- 社会保険料の定時改定(算定結果反映)
- 労働保険料の納付(第2期分)
- 年末調整の案内準備
- 年次有給休暇の取得義務アナウンス
10月には7月に行った算定結果に基づいて社会保険料の改定を行います。社員への社会保険料の通知、給与情報の更新が必要です。
年末調整に法改正がないかなど、この時期から確認をし、社員への案内の準備をしましょう。
また、年次有給休暇は年5日の取得義務があります。4月付与から半年が経過し、未取得者がいれば翌年3月までに取得できるようにアナウンスをしましょう。
付与日によって取得期限は異なりますので、自社のルールに則って管理してください。
11月
- 扶養者リストの確認(10月〜11月に送られてきます)
- 勤怠システムの設定
健康保険協会や健保組合から、例年10月~11月に被扶養者リストが送付されてきます。対象社員の被扶養者の状況を確認し、提出しましょう。扶養から外れる者がいる場合には、被扶養者異動届を提出します。
また、年末に慌てないように、翌年の休日・祝日や会社独自の休日を確認し、勤怠システムに登録・設定を行いましょう。
12月
- 年末調整書類の提出締め切り、確認
- 本年分の源泉徴収票の発行
12月は年末調整と源泉徴収票の発行が行われ、1年の中でも給与関連の業務がピークになる時期です。
年末調整は1年間(1月〜12月)に支払った給与・賞与額をもとに所得税の過不足分を調整する手続きです。
対象になるのは、その年の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員です。
例外的に、年末調整の対象ではない方もいるので確認が必要です。
年末調整実施後の結果が反映された源泉徴収票を作成し、従業員へ発行します。尚、年末調整対象外の社員へも源泉徴収票の発行は必要です。
1月
- 法定調書簿提出
- 給与支払報告書の提出
- 労働保険料の納付(第3期分)
- 新卒社員への入社案内(4月入社予定)
- 給与改定の準備
- 就業に関する誓約書の合意依頼
- 副業申請の提出依頼、確認
1月には法定調書と給与支払報告書の提出が行われます。法定調書は1月31日までに会社管轄の税務署に提出します。
経理担当者との連携が必要となる場合が多いので、情報の共有が重要です。マイナンバーの記載がある書類が発生しますので、取り扱いには注意が必要になります。給与支払報告書は1月31日までに従業員が居住する市区町村に提出します。
また、4月入社予定の新卒社員へ、雇入時健康診断の案内などを行います。その他、準備に時間がかかる提出書類がある場合は、早めにアナウンスをしましょう。
給与改定を行う場合は、7月を参考に準備をします。
当社では、年に1回の確認事項・提出書類(副業確認など)は1月に行っていますが、これも4月など自社のタイミングで行ってください。
2月
- 年次有給休暇の取得義務の確認
- 給与改定者へ通知
- 給与改定決定後の処理(給与処理、人事情報更新等)
有給取得義務の期限が迫ってきましたので、有給取得状況を確認し年5日未取得の場合は、対象社員や上長へのアラートと共に、有給休暇の時季指定の検討をする必要があります。
給与改定を行った場合は、8月を参考に対応しましょう。
3月
- 36協定の締結、届出
- 従業員代表の選出
- 裁量労働制労使協定の締結、協定届の届出
- 4月の法改正に対する就業規則等の改訂準備
- 新年度年次有給休暇の付与準備
- ストレスチェックに係る産業医契約
- 新卒社員入社準備
36協定は毎年締結と所轄労働基準監督署への届け出が必要です。
法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められていて、これを超える労働をさせるには、36協定の締結と届け出が必須となります。
届け出を怠ると従業員の残業指示は認められず、トラブルの原因となります。
36協定の届け出は、有効期間の起算日より前に行わないと遅れた期間は無効となりますので、起算日と届け出の適切な管理が重要です。
自社において労働者の過半数で組織する労働組合が無い場合は、労働者の過半数を代表する「従業員代表」の選出もこの時期にしておきましょう。
また、4月入社の新入社員の社会保険手続きは、通常時期よりも処理に時間が掛かります。事前に必要な情報の確認と書類作成を行いましょう。
人事労務年間スケジュールを遂行するためのおすすめツール
人事労務担当者はこのような毎年行わなければいけない業務の他にも、
入退社手続きや給与計算・勤怠管理などの月次定例業務、社員個々への対応となる産休育休手続きなど対応しなければならない業務が多くあります。
そのような日々あふれている業務を効率化する方法として、業務プロセスを詳細に分析し、無駄を削減しましょう。
例えば、デジタル化や自動化を導入することで、手作業の時間を減少させることができます。
弊社が提供する「mfloow(エムフロー)」は、入退社や異動、産休・育休など、
従業員が働く上で発生する従業員の「ライフサイクル手続き」を一元管理できるクラウドツール(SaaS)です。
手続業務で発生しがちな「タスク漏れによる遅延」「連携ミス」「業務の属人化」を防ぎ、
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まとめ
会社側が行う退社手続きは、従業員と会社の双方にとってとても重要です。
従業員のスムーズな退社をサポートするために、退社手続きの基本的な流れ、必要書類と手続き、注意点、スムーズな進行のポイントを理解し、適切なサポートを提供しましょう。
退社手続きを効率的に管理することで、安定した組織の継続運営に繋がります。